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【ブラジルVSドイツ】   

いやはや、言葉がありませんな。
これは高校サッカー準決勝、国見VSどっかの新興躍進校(できれば同じ九州圏で国見によりビビやすい学校)でしょうか?(笑)

サッカーって難しいです。
相手によって違うし、その時々によっても違うし。

ま、にしても…、ですけどね。

サッカーは、どれが特別ってことじゃないじゃないですか。
際立ったスピードとか、圧倒的なパワーとか、頭抜けた高さとか、それは武器にはなるけど、それだけで得点できる、勝てるワケではなく。
そういうの含め、本田はじめ日本代表の大好きな(笑)「個」で決まる試合もあれば、
ディテールで決まる、しかもそれは大抵の場合、ミスであることが多いワケだけど、それで決まるゲームもある。

だからこそ、システムや選手起用・配置の妙、あるいは「食べ合わせ」(味方とも相手とも)があり、
もちろん技術的な裏付けもあり、メンタルの作用もあり、
ましてやそれが、4年に一度のW杯、負けたら終わりのトーナメント、1点の重みが大きなサッカーというゲーム、
においては、殊更、拡大されて反映される時もある。

ということなんだろうと思いますが、それにしても、そうは言っても、余りに惨劇、ですよね。

結局は、バランスって言葉に尽きるのかもしれません。

僕はこの観点を、①引き出し ②効果的なプレイと決定的なプレイ ③試合の流れ、
という風に置きましたが、もちろん、そこに当て嵌めて解説する、振り返ることは可能だし、むしろ正しいと思いますが、
でも、そんなんじゃ解説にもならず、説明にも慰めにもならないくらい、でしょう、ブラジルにとっては。
屈辱だし、国辱でしょうね。

僕が思うには、まずブラジルは、入れ込み過ぎ。
それはネイマールの欠場が大きくて、「一緒に戦う、お前のために戦う」と、ユニフォームも掲げて。
そこに、国会斉唱の勢いのまま、テンションが異常に高まったまま、昂揚感のままに試合に入っていった、
ということなのかな、と思います。

ブラジルの出足は、悪くなかったと思います。
出足だけみれば。
ただ、それは気持ちだけが先走っていて、振り返れば空回り気味で、意識過剰で、
簡単に言えば、勘違いのままズンズン一番槍欲しさに踏み込んでしまって、気付けば相手に包囲されてた、みたいな。
日本の、対コロンビアのところで書きましたが、強いて言えば、それは勇気とか果敢さでなく、「蛮勇」。

リスクを背負って勝負に出るとか、ビジョンが合って連動連携、意思疎通、共有しての動きでなく、
単なる突進、突貫のような、そういう統率性のない、攻勢だったのではないだろうか。

だって、ブラジルは、コンフェデの成功も、今大会も、
決して主導権を握って相手を押し込んで王者然とした戦い方をしてきたワケじゃ、全くない。
それを、不謹慎だけども、ネイマールが「死んで」、それに続け、アイツに報いるには特攻あるのみ、
みたいな間違った恐れ知らずで突っ込んでしまったのではないだろうか。

ドイツが、それを意図して導いたならもう、レーヴも選手たちも賞賛しかないけれど、
ドイツはむしろ今大会、風格を持ち、相手を圧倒凌駕し、叩き潰すくらいの堂々たる戦いぶりで勝ち上がってきているけれど、
逆に苦戦する場合は、余りに王者たろうとしてカウンターの速さ(要は攻め込んだために出来る裏のスペース)に苦しんだアルジェリア戦とか、
逆に守り固められた、攻めるスペースのないアメリカ戦とか、
そういうことだと思ってますが、簡単に言えば、蛮勇だけで飛び込んでくる槍と刀だけのブラジルは、
鉄砲構えて火に入る夏の虫というか、まさに策略にはまった格好の餌食になったんじゃないかと、
そう思います。

個人のことを言えば、キリはないですよ。
結局、フレッジは全く効果的な働きを大会通じて出せず、オスカルも初戦が一番よく、フッキは周りと合わない独りよがりの持ち過ぎとか。
ディテールも言えばキリがないんですよ。
最初の失点もマンマークゆえの進路塞がりの結果だし、奪われ方のミスあり、クロースのミドルも余りにヒットし過ぎたし。
でも、全体で言うと、そういうことかなーと、振り返ってます。

ポゼッションの代名詞はドイツに看板替え、のように戦っておきながら、凄まじい切れ味のカウンターで王国を沈めたこと、
それ自体も引き出しでしょうし、むしろ選手交代や個々のギアチェンジなどよりも、
遙かに重み深みのある「引き出し」だったのかなと。

これは前回の大会で書いたことだと思いますが、ドイツのスケールの大きさ、
あのカウンターの凄さは、ポゼッションスタイルとした今も、厳然と活きていたってことですね。
そして先日の試合で書いた、伸縮自在ということも、ミュラーの動きの幅≒ボールの引き出し方あるいはスイッチを筆頭に、
ドイツの連動性、組織性、つまりは「バランス」なんでしょうけれど、圧倒的でしたし、恐らく相手がオランダでもアルゼンチンでも、
そこで劣る、引けを取ることは、ないんでしょうね。

最初、まだブラジルの出足が良く、0-0の時に、一度ケディラがクリアからダイレクトでつないだシーンがあったんですが、
あの時に、思い返せば、ちょっと戦慄が走るような、「ドイツ、やば…」という感覚が、あったような気もします。
今となっちゃ、後付けですがね。

ブラジルの蛮勇という意味では、最初の失点の前の、CKになったカウンターが、
それこそマルセロが前に前に出ようとして失ったところからなんですが、
後の祭りですが、余りに不注意で不用心なブラジルの、アクセル全開のテンションだった気がします。

ネイマールがいない、チアゴシウバがいない、でもやってやる!だからこそやってやる!、
そのテンションを見せておいて、冷静さと抑制とで、ゲームプランをきっちり見据えて戦う、
90分の勝負をする、構えて受けて、時に潰して、ドイツの弱点を探す、ドイツに痺れを切らせる、
というような戦い方を期待というか、想像していたんで、
何だか途中から討ち死にを見ているようでもあり、ちょっと胸が痛かったですね…

ブラジルは結果として、ネイマールもチアゴシウバも失った試合で負けて、
分かりませんが、結果として良かったのかもしれません、負け方はともかく、負けに至る道筋としては。
気負い過ぎて入り方を間違えた、ってだけかもしれませんけど、
そうとでも考えないと、やりきれないでしょう。


バランス、ってことだと思いました、今日の試合は。
メンタルも含めて、全てのバランスですね。
それが総合力、なんでしょう。

それとハードワーク。
ていうか、あるべきときに、そこに居ること、パスをつなぐこと。およびその精度、かな。
ま、書いたら当たり前なんですけどね。

ドイツは、老獪という言い方が当てはまるのかどうかわからないが、
全ての準備が、周到になされている。
フィジカルコンディションの良さ、ケガからの復帰の早さと確実さなど、
ケアの面で言われる部分はもうここ何大会か続いているが、
例えばレフェリーに関しても、これはもう長年、
ドイツは荒唐無稽なラフプレイなどはしない、みたいな「刷り込み」が、
きっとどこかにあり、それがどこかで必ず有利に働いてくれるはずだ、
仮にこの大会で負けても後世の代表のためになるはず、
みたいな周到さの積み重ねが、あると思う。

で、その総合力ではもはや断トツであろうドイツに対しては、
これはもう、メッシという個がやっぱりそれでも、勝負を決める決定的な選手、プレイっていうのは、
そういうことなんだな、ってのを見たいです。

なにせ、ドイツ嫌いなもんでね(笑)

by wearecrazy | 2014-07-09 15:15

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